休職から復職を目指すとき、「リワーク」と呼ばれるプログラムがあります。ややこしいのは、リワークには運営元の違う種類がいくつもあり、費用も期間も対象者も違うことです。この記事では、そのうち公的機関が無料で提供している地域障害者職業センターのリワーク支援を中心に、対象・費用・期間・使うために何が必要かを整理します。
私は復職ではなく転職を選んだので、リワークは使っていません。ただ、選択肢として名前は何度も目にしました。調べてみると「知らないまま休職期間が終わる」にはもったいない制度だったので、分かった範囲でまとめておきます。
公的機関のリワークは、本人も会社も無料
独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)が全国に置いている地域障害者職業センターが、メンタルヘルス不調で休職している方向けに「リワーク支援(精神障害者職場復帰支援)」を実施しています。
愛知障害者職業センターの案内には、「職場復帰支援は、ご本人、事業主とも無料でご利用いただけます」と明記されています。休職中で収入が傷病手当金だけになっている時期に、費用がかからないのは大きいと思います。
対象になる人、ならない人
- 対象:雇用保険適用事業所に在職中で、メンタルヘルス不調により休職している方
- 対象外:国や地方公共団体の職員(公務員)
ここで大事なのは、「在職中」であることです。退職してしまうと対象から外れます。退職を考えている場合、この制度を使うなら休職中のうちに動く必要があります。
障害者手帳は必須ではありません。地域障害者職業センターという名前から「手帳がないと使えない」と思ってしまいがちですが、休職中の方向けのリワーク支援は手帳の有無を要件にしていません。
いちばんのハードルは「三者の合意」
この制度の特徴であり、同時にハードルでもあるのが三者合意です。東京障害者職業センターの案内では、職場復帰を円滑に進めるには休職中の社員・企業の担当者・主治医の3者による協働体制が重要であり、支援の前にこの3者との合意形成を行うとされています。愛知の案内では、支援計画について3者の書面による同意を得る、と書かれています。
つまり、自分ひとりで申し込んで始められる制度ではありません。会社に「リワークを使いたい」と伝え、主治医にも話を通す必要があります。会社に知られずに進めたい場合は、この制度は選べません。
逆に言えば、会社と主治医を巻き込んだ状態で復職の計画を立てられるのがこの制度の価値です。復職の可否をめぐって会社と揉めやすい部分に、第三者の専門機関が入ってくれます。
期間は3〜4か月が目安
- 厚生労働省の審議会資料では、標準的な支援期間は12〜16週間とされています
- 愛知障害者職業センターの案内では、標準期間は14週間
- 東京障害者職業センターの案内では、利用説明会からプログラム終了までが4〜6か月程度(個別に設定)
説明会への参加や三者の調整にも時間がかかるので、休職期間の残りを逆算して動く必要があります。休職できる期間には会社ごとに上限があるので、そこを先に確認しておくほうが安全です。
支援で何をするのか
厚生労働省の資料では、支援の柱として次の3つが挙げられています。
- 生活リズムの構築と自己管理
- 基礎体力・集中力の向上
- ストレス対処法の習得
本人向けには作業支援やアサーショントレーニング(自分の考えを相手を尊重しながら伝える練習)など、事業主向けには労働条件の設定や雇用管理についての助言が行われます。本人だけでなく、受け入れる会社側にも助言が入るのがこの制度の特徴です。
「リワーク」には他の種類もある
検索すると、公的機関以外にも「リワーク」と名のつくサービスが出てきます。混同しやすいので、区別だけ書いておきます。
| 種類 | 運営 | 費用の考え方 |
|---|---|---|
| 地域障害者職業センターのリワーク支援 | 公的機関(JEED) | 本人・事業主とも無料 |
| 医療機関のリワーク(デイケア等) | 病院・クリニック | 保険診療。自己負担が発生する |
| 会社独自の復職支援プログラム | 勤務先 | 会社の制度による |
医療機関のリワークは主治医のいる病院で受けられる場合があり、通院の延長で始めやすいという違いがあります。費用の扱いは医療機関や加入している保険によって変わるので、通っている病院にリワークがあるかどうかを、まず主治医に聞いてみるのが早いと思います。
どこに問い合わせるか
地域障害者職業センターは各都道府県にあります。まずは利用説明会から、というところが多いようです(要予約の場合があります)。
ひとつ注意点として、同じ都道府県でも実施している拠点が限られていることがあります。たとえば愛知障害者職業センターの案内には「名古屋本所のみのサービス」と書かれています。通える範囲かどうかは、住んでいる地域のセンターに確認してください。
使うかどうかを決める前に
三者合意が要る制度なので、「会社に復職の意思を伝えられる段階かどうか」が先に来ます。まだそこまで回復していない時期に無理に動く必要はないと思います。
私は結果として転職を選びましたが、その判断をする前に「復職する道を本気で検討したか」は自分に問い直しました。リワークのような制度があると知っていれば、選択肢の比べ方も変わっていたかもしれません。名前だけでも頭に入れておくと、決めるときの材料が一つ増えます。
制度の運用は地域のセンターや時期によって異なることがあります。この記事は公開されている資料をもとに整理したもので、個別の判断についての助言ではありません。利用の可否や具体的な手続きは、お住まいの地域障害者職業センターにご確認ください。復職の時期や進め方は、必ず主治医とも相談しながら決めてください。
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この記事で参照した公式情報
- 高齢・障害・求職者雇用支援機構「リワーク支援(メンタルヘルス不調により休職している方の職場復帰)」東京障害者職業センター
- 高齢・障害・求職者雇用支援機構「リワーク支援」愛知障害者職業センター
- 厚生労働省 審議会資料「地域障害者職業センターの精神障害者職場復帰支援(リワーク支援)について」
