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休職して体調が上向いてきたとき、多くの人が向き合うのが「元の職場に戻るのか、戻らないのか」という問いだと思います。
私は最終的に、復職ではなく転職を選びました。この記事では、そのときに何を考え、何を基準にしたのかを書きます。正解を示すものではありません。同じ問いの前にいる方の、材料の一つになればと思っています。
※これは一人の当事者の体験談です。復職・退職の判断は、必ず主治医や産業医と相談しながら進めてください。
最初は「戻るのが当然」だと思っていた
休職に入った時点では、転職という選択肢は頭にありませんでした。
休職はあくまで一時的なもので、体調が戻れば元の場所に帰る。そういうものだと思っていましたし、周囲もそういう前提で話をします。「戻ってきたら、また一緒にやろう」という言葉は、ありがたい一方で、戻らない選択肢を考えにくくもしました。
考えが変わってきたのは、少し体調が回復してからです。回復してくると、休職前の状況を、以前より落ち着いて振り返れるようになります。そのときに、いくつかのことがはっきりしてきました。
判断の分かれ目になった問い
私が自分に向けた問いは、シンプルなものでした。
体調が戻ったとして、同じ環境に戻ったら、同じことが起きないと言えるか。
ここが分かれ目だったと思います。
体調を崩した理由が、たとえば一時的な繁忙や、特定のプロジェクトの負荷であれば、状況が変われば繰り返さない可能性があります。この場合は、復職して業務量を調整してもらう道が現実的です。
一方、原因が働き方そのものの構造や、変わりようのない人間関係にある場合、体調が戻っただけでは同じことが起きます。私の場合は、後者に近いと感じました。
もちろん、会社側が配慮してくれる可能性はあります。部署を変える、担当を変える、業務量を減らす。ただ、それが実際にどこまで実行されるかは、戻ってみないと分かりません。そして、戻ってから「やはり無理だった」となったときのダメージは、決して小さくありませんでした。
転職を選ぶことのデメリットも、正直に
転職を選んだ結果、はっきりとデメリットもありました。
ひとつは、経済的な面です。復職であれば、傷病手当金を受け取りながら段階的に戻るという道があります。退職すると、その先の見通しは自分で立てなければいけません。要件を満たせば退職後も傷病手当金を受け取れる場合がありますが、条件があるため、事前に確認が必要です。
もうひとつは、転職活動そのものが負荷になることです。求人を探す、書類を作る、面接を受ける。どれも、体調が万全でない時期にはかなりのエネルギーを使います。
そして、休職・退職の経緯を面接でどう説明するか、という問題もあります。私はここが一番の悩みどころでした。
さらに正直に書くと、転職すれば体調の問題がすべて解決するわけではありませんでした。この点については、別の記事で詳しく書いています。
復職を選ぶメリットも、あらためて挙げておく
公平に見て、復職には転職にない強みがあります。
- 収入が途切れにくい。制度の枠内で段階的に戻れることが多い
- 仕事の内容や社内の勝手を分かっているので、立ち上がりの負荷が小さい
- 産業医面談やリハビリ出勤など、会社の制度を使いながら慣らせる
- うまくいかなかった場合でも、そこから改めて考える時間を取りやすい
とくに最後の点は大きいと思います。復職してみて合わなければ、そこから転職を考えることはできます。逆に、退職してから「やはり戻りたい」と思っても、それは基本的にできません。
ですから、判断としては「まず復職を試す」ほうが選択肢を残せる、というのは事実です。私はそれを分かったうえで、別の判断をしました。
私が最終的に決め手にしたこと
決め手になったのは、「戻ることを想像したときの体の反応」でした。
頭で考えているうちは、メリットもデメリットも並列に見えます。でも、実際に職場に戻る場面を具体的に思い浮かべたとき、明らかに体が拒否している感覚がありました。
この感覚を無視して復職を選んでいたら、たぶん長くは続かなかったと思います。
もう一つ、判断を助けてくれたのは、医師との会話でした。自分の中で決めきれないことを言葉にしていくと、自分が本当は何を怖がっているのかが見えてきます。一人で結論を出そうとしないほうが、結果的に早く決まりました。
決めるときに気をつけたこと
最後に、判断のプロセスで気をつけたことを挙げておきます。
- 症状が重い時期には決めない。判断力そのものが落ちているため
- 期限が迫ってから決めない。就業規則の休職期間は先に確認しておく
- 一人で決めない。医師、家族、必要なら社外の相談窓口も使う
- 「逃げかどうか」で考えない。続けられるかどうかで考える
3つ目の「一人で決めない」は、特に強調したいところです。この時期の自分は、どうしても自分に厳しい方向に判断が寄ります。外から見てくれる人がいるだけで、視野がかなり変わりました。
4つ目については、当時の私が一番とらわれていた考え方です。転職を考えるたびに「これは逃げではないか」という声が浮かびました。でも、逃げか逃げでないかは、続けられるかどうかとは何の関係もありません。長く働き続けられる場所を探すことは、キャリアの選択として普通のことです。
おわりに
復職と転職、どちらが正しいかという一般的な答えはないと思います。同じ状況でも、人によって、そして時期によって、答えは変わります。
ただ一つ言えるのは、この判断は体調が少し戻ってからのほうがいい、ということです。症状が重い時期の判断は、あとから振り返ると自分でも驚くほど極端になっていました。
急いで決めなくていい判断であれば、決めないという選択も含めて、時間を味方にしてほしいと思います。
転職活動で、休職の経緯をどう説明したか
転職を選ぶと必ず向き合うのが、面接での説明です。ここが不安で転職に踏み切れない、という人は多いと思います。私もそうでした。
前提として、病歴は本来、応募者が自ら明かす義務のある情報ではありません。そのうえで、私が実際にどうしたかを書きます。
伝えるかどうかの判断
私は、業務に配慮が必要かどうかを基準にしました。
入社後に通院の時間を確保する必要がある、勤務時間や業務量に配慮してもらう必要がある。そういう場合は、伝えないほうがあとで苦しくなります。逆に、すでに回復していて特別な配慮が不要なら、必ずしも詳細を話す必要はないと考えました。
伝えるときに意識したこと
- 過去形で話す(今も続いている問題としてではなく、経過として)
- 原因を前職の批判にしない(採用側は「うちでも同じことを言われるのでは」と考えます)
- 再発防止のために何をしているかをセットで話す
- 働ける状態であることを、事実として簡潔に伝える
3つ目が、いちばん効いた気がします。「体調を崩しました」だけだと、相手は不安になります。「こういう状況で崩し、こういう治療と生活の改善をして、今はこういう状態です」まで話すと、相手が判断できる材料になります。
2つ目については、前職に言いたいことがまったくなかったわけではありません。それでも、面接の場でそれを話しても得るものはありませんでした。
空白期間の説明
履歴書の空白については、「体調を整えるために療養期間を取った」と事実として書き、そのうえで、その期間に何をしていたかを添えました。私の場合は資格の勉強をしていたので、それを伝えました。
正直に書くと、この説明で通らない会社もあったと思います。ただ、そこで通らない会社は、入ってから配慮を得るのも難しかっただろうとも思っています。
転職先を選ぶときに見た点
最後に、同じことを繰り返さないために、転職先を見るときの基準を変えました。
- 給与や役職より、続けられる働き方かどうかを先に見る
- 通勤時間と勤務地(毎日のことなので、疲労に直結します)
- 残業時間の実態(求人票の数字ではなく、面接で具体的に聞く)
- 休みの取りやすさ、家庭の事情で休むことへの空気
- 面接で会った人の話し方や、質問への答え方
最後の点は数値化できませんが、私にとっては重要でした。面接は、こちらが評価される場であると同時に、こちらが職場の空気を見る数少ない機会でもあります。
「すぐに次の職場へ」が難しいと感じたら
私は復職ではなく転職を選びましたが、体調によっては次の職場にすぐ移ること自体がしんどい時期があります。そういうときは、間に就労移行支援をはさむという選択肢があります。訓練や職場実習を通じて自分に合う働き方を探し、就職後の職場定着まで支援を受けられる福祉サービスで、標準の利用期間は24か月とされています(厚生労働省の資料による)。
通所が負担な時期のために、在宅で受けられるタイプもあります。体調に波があるうちは、家から始められるほうが現実的だと思います。費用は世帯の所得によって決まり、自己負担が発生しない場合もあります。
在宅×ITスキルで障害や体調にあわせた働き方を【就労移行支援manaby】私自身がここを利用したわけではないので、体験談としては書けません。あくまで「こういう選択肢がある」という紹介です。合うかどうかは、見学や個別相談でご自身の目で確かめてください。
※この記事は個人の体験に基づくもので、医学的・法的なアドバイスではありません。復職や退職の判断については、必ず主治医・産業医とご相談ください。

