自立支援医療と障害者手帳は、名前が並んで出てくることが多いので混同されがちです。実際には別の制度で、対象も、申請できる時期も、更新の周期も違います。
ざっくり分けると、自立支援医療は通院の医療費を軽くする制度、精神障害者保健福祉手帳は生活や就労の支援につながる制度です。
※これは一人の当事者が公式の情報をもとに整理したものです。手帳で受けられるサービスは自治体や事業者によって大きく異なります。実際の手続きと内容はお住まいの市区町村にご確認ください。
手帳は「初診日から6か月」を過ぎないと申請できない
精神障害者保健福祉手帳の実施要領には、申請に使える診断書は精神障害に係る初診日から6か月を経過した日以後のものに限る、と定められています。
つまり、通院を始めてすぐには申請できません。ここが自立支援医療との大きな違いです。自立支援医療には、この6か月の待ちはありません。
なお、精神障害を支給事由とする年金給付を受けている場合は、診断書の提出が不要とされています。
等級は1級から3級
手帳には3つの等級があります。実施要領の定義はこうです。
- 1級:日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度
- 2級:日常生活が著しい制限を受けるか、著しい制限を加えることを必要とする程度
- 3級:日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、制限を加えることを必要とする程度
自立支援医療には等級がありません。あるのは所得に応じた自己負担の上限額だけです。「何級ですか」と聞かれて戸惑うことがあれば、それは手帳の話をされています。
更新の周期が違う(ここがいちばん混乱する)
- 手帳:有効期限は交付日から2年が経過する日の属する月の末日。更新の申請は有効期限の3か月前から
- 自立支援医療:有効期間は原則1年。更新の申請は有効期間終了のおおむね3か月前から
片方は2年、もう片方は1年です。両方を持っていると、更新の時期がずれて回ってきます。どちらも「3か月前から」なので、受け付けの開始だけ同じで期限が違う、という覚え方になります。
手帳の期限を自立支援医療と同じ1年だと思い込んでいると、気づいたときには切れていることがあります。受給者証と手帳、それぞれに書いてある期限を確認しておくのが確実です。
申請の出し先
手帳の申請は、住んでいる市町村を経由して都道府県知事に提出する形になっています。窓口に行くのは市区町村役所ですが、交付するのは都道府県です。
自立支援医療も窓口は市区町村なので、同じ場所で両方の相談ができることが多いです。申請の時期が近いなら、一度にまとめて聞いてしまうほうが早いと思います。
手帳で受けられることは、自治体差が大きい
ここは正直に書きます。手帳で受けられるサービスは、住んでいる自治体と、事業者ごとに内容がかなり違います。税の控除のように全国共通のものもあれば、交通運賃や公共施設の割引のように地域や事業者によって扱いが分かれるものもあります。
ネットで「手帳があるとこれが受けられる」と書かれていても、自分の住んでいる場所で同じとは限りません。市区町村の窓口でもらえる案内が、いちばん確実です。
どちらを先に考えるか
通院を続ける前提なら、まず自立支援医療です。6か月の待ちがなく、窓口負担が通常3割のところ1割になるので、効果がすぐ出ます。
手帳のほうは、初診から6か月経つまで申請できません。取るかどうかは、受けられる支援の内容を自治体の窓口で確認してから決めても遅くないと思います。
おわりに
制度の名前が似ていると、どちらの話をされているのか分からなくなります。医療費の話なのか、生活と就労の話なのか。この2つで切り分けると、窓口でのやりとりがだいぶ楽になります。
この記事は制度の一般的な仕組みを整理したもので、個別の判断についての助言ではありません。手続きの詳細や受けられるサービスは市区町村によって異なります。体調のことは、必ず主治医とも相談しながら進めてください。
