雇用保険の基本手当(失業給付)は、受け取れる日数が全員同じではありません。障害者手帳を持っているなど「就職困難者」という区分に当たると、一般の離職者が90日のところ、被保険者であった期間が1年以上なら45歳未満で300日、45歳以上65歳未満で360日になります。3倍以上の差です。この記事では、日数がどう変わるのか、誰が就職困難者に当たるのか、そして受給期間(いつまでに受け取るか)がどうなるのかを、厚生労働省とハローワークの資料で確認したところまで整理します。
私は休職していたころ、失業給付というのは「退職したら90日分もらえるもの」だと思い込んでいました。実際には日数の決め方はもう少し細かくて、離職理由だけでなく、この「就職困難者かどうか」という区分でも変わります。自分で選べる区分ではなく、ハローワークが確認して決めるものですが、それでも仕組みを知っているかどうかで、窓口で聞けることは変わると思います。
所定給付日数は「区分」で決まる
基本手当を何日分受け取れるかを「所定給付日数」といいます。ハローワークインターネットサービスでは、この日数が3つの区分に分けて示されています。
- 一般の離職者(下の2・3以外)
- 特定受給資格者・特定理由離職者(倒産や解雇、病気などやむを得ない理由での離職)
- 就職困難者
まず1の一般の離職者は、年齢に関係なく被保険者であった期間だけで決まります。
| 被保険者であった期間 | 所定給付日数 |
|---|---|
| 10年未満 | 90日 |
| 10年以上20年未満 | 120日 |
| 20年以上 | 150日 |
これに対して3の就職困難者は、次のようになります。
| 被保険者であった期間 | 45歳未満 | 45歳以上65歳未満 |
|---|---|---|
| 1年未満 | 150日 | 150日 |
| 1年以上 | 300日 | 360日 |
勤続5年の人が自己都合で辞めれば90日。同じ条件でも就職困難者に当たれば、45歳未満で300日、45歳以上なら360日です。体調を整えながら次の仕事を探す期間として考えると、この差はかなり大きいと思います。
「就職困難者」に当たるのはどういう人か
厚生労働省の「雇用保険に関する業務取扱要領」では、就職が困難な受給資格者として次の区分が挙げられています。
- 身体障害者(障害者の雇用の促進等に関する法律にいう身体障害者)
- 知的障害者(児童相談所や知的障害者更生相談所等の判定を受けた人、療育手帳を持っている人)
- 精神障害者
- 保護観察の対象となっている人で、保護観察所長からハローワークに連絡があった人
- 社会的事情により就職が著しく阻害されている人
このうち精神障害者については、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人のほか、要領で定められた特定の精神疾患で、症状が安定していて就労が可能な状態にある人も対象として挙げられています。つまり手帳がなくても該当しうる書き方になっています。
ただしここは自己判断できるところではありません。該当するかどうかを確認して決めるのはハローワークです。手帳を持っている場合も、持っていないけれど当てはまるかもしれないと思う場合も、求職の申込みをするときに窓口で相談するのが確実です。主治医の意見が必要になることもあるので、通院している場合は診察のときに話しておくとスムーズだと思います。
「いつまでに受け取るか」も変わることがある
所定給付日数とは別に、「受給期間」という期限があります。これは離職日の翌日から原則1年間で、この期間を過ぎると、所定給付日数が残っていても受け取れません。日数が長くても、期限内に受け取り切れなければ意味がなくなってしまいます。
そのため、所定給付日数が長い場合には受給期間のほうも延びる扱いがあります。ハローワークの説明では、所定給付日数330日の場合は1年に30日を加えた期間、360日で給付制限がない場合は1年に60日を加えた期間が受給期間になるとされています。また、就職困難者が給付制限を受ける場合にも、受給期間が1年を超えることがあるとされています。
自分の受給期間がいつまでなのかは、受給資格者証で確認できます。手元に届いたら、まずそこを見ておくと安心だと思います。
「働ける状態であること」が前提になっている
ここまで日数の話をしてきましたが、基本手当は「働く意思と能力があるのに職に就けない状態」に対して支給されるものです。精神障害についての記載も「症状が安定し、就労が可能な状態」という前提で書かれています。
まだ療養が必要で働ける状態にないなら、先にやることは受給期間の延長の手続きのほうです。病気やケガで働けない期間がある場合は、その分だけ受給期間を後ろにずらせる制度があります。これは別の記事にまとめているので、そちらを参照してください。
また、障害者手帳そのものの取り方や、自立支援医療との違いも別の話になります。手帳は「就職困難者に当たるかどうか」だけのための制度ではないので、取得を考えるときは全体を見てから判断したほうがいいと思います。
なお、この記事は制度の一般的な仕組みを公的資料から整理したものです。個別の判断はハローワークが行いますし、体調についての判断は主治医のものです。ここに書いたことは治療や医師の助言に代わるものではありません。不安があるときは、窓口と主治医の両方に相談してください。
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この記事で参照した公式情報
- ハローワークインターネットサービス「基本手当の所定給付日数」
- 厚生労働省「雇用保険に関する業務取扱要領」第4 所定給付日数について
- ハローワーク「基本手当の支給を受けることができる期間は」
