退職すると、それまでの健康保険の資格を失います。次にどの保険に入るかは、大きく3つの選択肢があります。任意継続、国民健康保険、家族の被扶養者になることです。
このうち任意継続には退職日の翌日から20日以内という期限があります。療養中でいちばん動けない時期に、この20日が来ます。先に知っておかないと、選択肢そのものが消えます。
※これは一人の当事者が公式サイトを読んで整理したものです。国民健康保険の保険料は市区町村ごとに異なります。金額の比較は必ずお住まいの市区町村の窓口でご確認ください。
任意継続の条件と期限
協会けんぽの任意継続に入るには、次の2つを満たす必要があります。
- 退職日までに、被保険者期間が継続して2か月以上あること
- 退職日の翌日から20日以内に手続きをすること
20日目が土日祝日の場合は翌営業日まで。郵送する場合は20日以内に必着で送る必要があります。消印ではありません。
加入できる期間は2年間です。
保険料は「在職中の2倍」が目安
在職中の健康保険料は、会社と本人で折半しています。任意継続では会社の負担がなくなるので、公式にも「退職前に控除されていた保険料を2倍した額になります」と書かれています。
ただし上限があります。退職時の標準報酬月額が32万円を超える場合は、32万円で計算されます。給与が高かった人ほど、この上限が効きます。
保険料は原則として2年間変わりません。前年の所得が下がっても下がらない、ということです。
どちらを選ぶか
任意継続
- メリット:手続き先が1か所で分かりやすい。扶養している家族をそのまま被扶養者にできる。標準報酬月額に32万円の上限があるため、給与が高かった人は割安になりやすい
- デメリット:保険料は原則2年間変わらない。所得が下がっても下がらない。20日以内という短い期限がある
国民健康保険
- メリット:前年の所得をもとに計算されるため、翌年度は保険料が下がることがある。倒産や解雇などで職を失った人向けの軽減制度がある(対象になるかは離職理由による)
- デメリット:扶養という考え方がなく、加入する家族の人数分がかかる。金額は市区町村ごとに違うので、自分で試算してもらわないと分からない
どちらが安いかは、退職時の給与、扶養している家族の人数、住んでいる市区町村で変わります。両方の金額を出してもらってから決めるのが確実です。任意継続の額は協会けんぽの支部、国民健康保険の額は市区町村の窓口で試算してもらえます。
20日という期限があるので、退職日が決まった時点で問い合わせておくと間に合います。
傷病手当金との関係で誤解しやすいこと
任意継続に入れば傷病手当金がもらえる、と考えている人がいますが、そうではありません。
協会けんぽの説明では、任意継続被保険者の傷病手当金は在職中から継続して給付されている場合に限り申請できるとされています。任意継続の期間中に新しく発生した病気やけがでは支給されません。
退職後に受け取っているのは「資格喪失後の継続給付」であって、任意継続に入ったから受け取れているわけではありません。任意継続に入るかどうかと、傷病手当金を受け取れるかどうかは、別の話です。
任意継続をやめるとき
任意継続の資格を失うのは、次のような場合です。
- 他の健康保険の被保険者になったとき(就職したときなど)
- 保険料を納付期限までに納めなかったとき
- 後期高齢者医療制度の被保険者になったとき
- 本人が任意継続をやめたいと申し出たとき
再就職が決まれば新しい会社の健康保険に切り替わります。短期間の再就職を見込んでいる場合は、その点も踏まえて選ぶことになります。
おわりに
退職と療養が重なると、決めることが一度に増えます。健康保険は、後回しにすると選択肢が減る手続きの代表格です。
やることは、退職日が決まったら両方の金額を聞いておく。それだけです。金額が分かってしまえば、あとは選ぶだけになります。
この記事は制度の一般的な仕組みを整理したもので、個別の判断についての助言ではありません。保険料や加入条件は、加入している健康保険とお住まいの市区町村にご確認ください。

