今思えば、あれが初期症状だった。うつになる前に体が出していたサイン

体験談 体験談

「うつ病は、ある日突然なるものではない」とよく言われます。私も、診断を受けるずっと前から、体はいろいろな形でサインを出していました。ただ、そのときは全部、別の理由で説明できてしまっていたのです。

ここでは、私が実際に経験した「今思えば初期症状だったもの」を、当時どう受け止めていたかも含めて書いてみます。同じような状態にある方が、少しでも早く立ち止まるきっかけになればと思っています。

※これは一人の当事者の体験談で、診断の基準や医学的な判断を示すものではありません。気になる症状があるときは医療機関にご相談ください。

サイン1:夕方から夜にかけての頭痛

最初に出たのは、頭痛でした。

特徴的だったのは、朝ではなく夕方から夜にかけて強くなることです。仕事が終わりに近づく時間帯、頭の奥のほうが重くなってくる。家に着く頃にはピークで、何もする気になれない。

当時の私は、これを「疲れ」だと思っていました。パソコンの見すぎ、寝不足、肩こり。実際そういう要因もあったと思います。市販の頭痛薬を飲んで、翌朝には少し引いているので、そのまま何年も同じことを繰り返していました。

振り返って思うのは、「毎日決まった時間帯に出る」「休みの日には出にくい」というパターンがあった時点で、単なる疲れではなかったのかもしれない、ということです。

サイン2:休んでも抜けない倦怠感

次に来たのが、強い倦怠感でした。

土曜に一日寝て過ごしても、日曜の夕方にはもう疲れている。連休が明けても回復した感じがない。「休んだのに、休めていない」という状態が続きました。

これも当時は、年齢のせいだと思っていました。20代の頃のようには回復しないよな、と。周りの同世代も「疲れが抜けない」と言っていたので、そういうものだと納得していたのです。

ただ、あとから考えると、私の場合は程度が違っていました。朝、起き上がるまでに何十分もかかる。歯を磨くのが億劫。着替えるのがしんどい。日常の当たり前の動作に、いちいち助走が必要になっていました。

サイン3:胸の痛みと、胃のむかつき

体の症状としては、胸のあたりの痛みと、胃のむかつきもありました。

胸の痛みは、締めつけられるような感じが数分続いて、また消える。心臓が悪いのかと不安になりましたが、検査では特に問題は見つかりませんでした。

胃のむかつきは、食欲がないというより、食べようとすると気持ち悪くなる感じです。食事が楽しくなくなり、外食に誘われるのが少し憂うつになりました。

精神的な不調が、心ではなく体の症状として先に出ることはよくあるようです。私の場合も、「気分が落ち込む」よりずっと前に、体のほうが先に音を上げていました。検査で異常が出ないのに症状が続くとき、それは体が我慢の限界を伝えている可能性がある、と今では思います。

サイン4:何に対してもやる気が出ない

いちばん分かりにくかったのが、これです。

仕事のやる気が出ないだけなら、「今の仕事が合っていないのかな」で説明がつきます。でも私の場合、休みの日に好きだったことをする気も起きなくなっていました。テレビも、買い物も、出かけることも、どれも面倒くさい。

これを当時は「怠けているだけ」だと思っていました。自分は根性がない、気持ちが弱い、と。今にして思えば、その自己評価そのものが、すでに症状の一部だったのかもしれません。

「好きだったことが楽しくなくなる」というのは、単なる気分の問題として片づけないほうがいいサインだと感じています。

サイン5:ミスが増える、言葉が出てこない

仕事の場面では、集中力の低下がはっきり出ました。

以前なら気づいていた入力ミスに気づかない。人の話を聞きながらメモを取るのが難しくなる。会話の途中で、言おうとしていた言葉が出てこない。

これがまた、悪循環を生みます。ミスが増える → 自信がなくなる → 確認に時間がかかる → 残業が増える → さらに疲れる。この輪の中に入ると、自力で抜けるのは難しかったです。

なぜ、気づけなかったのか

こうして並べると、サインは十分すぎるほど出ていました。それでも受診が遅れたのは、一つひとつに「別の説明」がついてしまったからだと思います。

  • 頭痛 → パソコンの見すぎ、寝不足
  • 倦怠感 → 年齢のせい、みんな同じ
  • 胸の痛み・胃のむかつき → 検査では異常なし、たぶん気のせい
  • やる気が出ない → 自分が怠けているだけ
  • ミスが増える → 気の緩み、注意不足

どれも、それらしい理由です。そして、どの説明も「自分が我慢すればいい」という結論に着地します。だから受診にたどり着かないのだと思います。

もう一つ、大きかったのは「まだ働けている」という事実でした。毎朝出社できているのだから、大したことはない。そう考えていました。

どの時点で立ち止まればよかったか

いま同じ状態の自分に声をかけられるとしたら、私は「症状が2週間以上続いているかどうか」を目安にすると思います。

一日や二日、調子が悪いのは誰にでもあります。でも、同じ症状が2週間以上、毎日のように続いていて、休みを取っても戻らない。そのときは、疲れとは別の何かが起きている可能性を考えたほうがいい。

受診のハードルが高いと感じる場合、まずは内科でも構わないと思います。私自身、最初から精神科に行けたわけではありません。体の症状があるなら、まず体を診てもらって、そこで異常が見つからなければ、その医師に相談してみる。そういう順番でも遅くはありません。

「病院に行くほどではない」と思っているうちに悪くなるのが、この病気のやっかいなところだと感じています。行ってみて何もなければ、それが一番いいのですから。

周囲から見て気づけるサイン

ここまでは自分の内側から見たサインを書きましたが、家族や同僚から見て気づけることもあります。あとから聞くと、周りは私よりずっと前に変化に気づいていました。

  • 口数が減った、雑談に加わらなくなった
  • 表情が乏しくなった、笑わなくなった
  • 遅刻や欠勤が増えた、逆に休まず出社し続けている
  • 身だしなみへの関心が減った
  • 食事の量が明らかに変わった
  • 以前は楽しんでいた誘いを断るようになった

とくに3つ目は誤解されやすい部分です。「休まず出社している=元気」ではありません。休むと復帰できなくなりそうで怖い、という理由で無理に出続けているケースもあります。私にもその時期がありました。

もし身近な人にこうした変化を感じたら、「大丈夫?」よりも「最近ちょっと疲れて見えるけど、寝られてる?」のように、具体的で答えやすい聞き方のほうが、こちらとしては話しやすかったです。

どこに相談すればいいか分からないとき

受診先が分からない、という段階で止まってしまう人も多いと思います。私もそうでした。

選択肢としては、次のようなものがあります。

  • かかりつけの内科(体の症状がある場合、まずここでもよい)
  • 心療内科・精神科
  • 会社の産業医、健康管理室
  • 各都道府県・市区町村の精神保健福祉センター
  • 厚生労働省の相談窓口(電話・SNSでの相談先がまとめられています)

精神保健福祉センターは、都道府県や政令指定都市に設置されている公的な機関で、こころの健康についての相談を受け付けています。医療機関にかかるかどうかを含めて相談できるので、最初の一歩としては入りやすい窓口だと思います。

「病院に行くほどではない気がする」という段階でこそ、こうした窓口が使えます。行ってみて何もなければ、それが一番いい結果です。

※この記事は個人の体験に基づくもので、診断や治療の代わりになるものではありません。気になる症状が続くときは、我慢せず医療機関にご相談ください。

あわせて読みたい

タイトルとURLをコピーしました