「うつ病 本 おすすめ」で検索すると、20冊、30冊と並べた記事がたくさん出てきます。
正直に書きます。このブログで紹介できている本は、いまのところ2冊だけです。
この記事では、なぜ数を増やしていないのかと、実際に本を選ぶときにどこを見ればいいと思っているかを書きます。
※これは一人の当事者の考えです。医学的な推奨ではありません。
なぜ2冊しか紹介していないのか
理由は単純で、読んで、自分の言葉で書けるものしか紹介しないと決めているからです。
うつ病の本は、症状が重い時期に読む人がいます。合わない本を「おすすめ」として渡してしまうと、読めなかったことが新しい自己否定になりかねません。この分野で数を並べることには、私はあまり意味を感じていません。
それに、当事者として本を読むのは、思っていたよりずっと時間がかかりました。活字が頭に入らない時期が長かったからです。ですから、このカテゴリはこれからゆっくり増えていきます。
選ぶときに見ている3つのこと
1. いまの自分の集中力で読み切れる形か
これが最優先だと思っています。内容がどれだけ良くても、読めなければ意味がありません。
| 状態 | 向いている形 |
|---|---|
| 活字がほとんど入らない | マンガ・コミックエッセイ、写真の多いもの |
| 数ページなら読める | 章が短く、どこから読んでもいいもの |
| ある程度読める | 体験記、エッセイ |
| 集中が戻ってきた | 解説書、ワークブック |
私が最初に読めたのはコミックエッセイでした。文字がぎっしり詰まった本は、開いた時点で疲れてしまって続きませんでした。
2. 誰が、どの立場で書いているか
大きく分けると、こうなります。
- 当事者が書いた本:共感しやすい。ただし、その人の経過が自分に当てはまるとは限らない
- 医師・専門家が書いた本:情報が整理されている。ただし、しんどい時期には距離を感じることもある
- 専門家が当事者向けに書いたワークブック:具体的に取り組める。ただし、症状が重い時期には負担になりやすい
どれが優れているという話ではなく、時期によって必要なものが違うのだと思います。私の場合、最初は当事者の本、少し回復してから専門家の本、という順番が合っていました。
3. 「治る」と断定していないか
これは慎重に見ています。
うつ病の経過には大きな個人差があります。特定の方法で必ず治る、と断定している本は、私は距離を置くようにしています。読んで効果がなかったときに、「自分のやり方が悪い」という結論に向かいやすいからです。
逆に、「人によって違う」「合わないこともある」と書いてある本のほうが、結果的に信頼できました。
買う前にやっていること
- 図書館で借りてみる。 合わなかったときの損失がありません。うつ病関連の本は、公共図書館にもたいてい置いてあります
- 書店で最初の10ページを読む。 文字の詰まり方、章の長さ、語り口が自分に合うかは、目次と冒頭でだいたい分かります
- 中古も候補に入れる。 ロングセラーの本なら、状態のよい中古が安く手に入ります
とくに図書館は、この時期にはありがたい選択肢でした。買ってしまうと「読まなければ」というプレッシャーがかかりますが、借りたものなら返せば済みます。
こういう選び方はしないほうがよかった
逆に、私が失敗したパターンも書いておきます。
ひとつは、まとめ買いです。調子が上向いてきた時期に、勢いで何冊も買いました。結果、積まれた本を見るたびに「読めていない」という気持ちになり、逆効果でした。
もうひとつは、レビューの星の数だけで決めることです。この分野のレビューは、その人の症状の重さや時期によって評価が大きく変わります。星が低い本が自分に合うこともありました。
三つめは、症状が重い時期に「治し方」の本を読むことです。読んでいると、いま自分ができていないことの一覧を突きつけられている気分になりました。この時期には、解決策より「同じような人がいる」と分かる本のほうが助けになりました。
本は治療の代わりにはならない
当たり前のことですが、大事なので書いておきます。
本を読むことは、治療ではありません。読んで気が楽になることはありますし、知識があると医師と話しやすくなるという実利もあります。それでも、本が主治医の代わりになることはありません。
とくに、症状が重い時期に「自分で何とかしよう」と本に向かうのは、私はおすすめしません。まず休むこと、受診すること。本はそのあとです。私自身、最初の数週間は一行も読めませんでした。
いま紹介している2冊
このブログでは、いまのところ次の2冊を紹介しています。どちらも、私が実際に読んで、自分の言葉で書けるものです。
コミックエッセイと、認知療法のワークブック。形式も、向いている時期もまったく違う2冊です。詳しくはそれぞれの記事に書いていますが、症状が重い時期に読めたのは前者だけでした。
これから読んだ本は、同じ基準で少しずつ増やしていきます。数を並べることはしませんが、そのぶん一冊ずつ、どんな時期の誰に向いていそうかまで書くつもりです。
本が読めない時期の、代わりになったもの
活字が入らない時期に、本の代わりになったものも書いておきます。
- 公的機関のウェブサイト。 厚生労働省の「こころの耳」など、短い項目に分かれているので、少しずつ読めました
- 音声。 目を使わずに済むので、横になったままでも聞けました
- 当事者のブログ記事。 1本が短く、途中でやめても罪悪感がありません
私自身、このブログを始めた理由のひとつがここにあります。1本の記事なら、本を1冊読む体力がなくても届くのではないか、と思ったからです。
本を読めたことが、そのまま回復の証拠ではない
最後にひとつ、気をつけていることを書きます。
読めるようになったことを「回復した」と受け取りすぎないほうがいい、ということです。
私は、活字が入るようになった時期に「もう大丈夫だ」と判断して、次の環境に移りました。結果として、また体調を崩しています。本が読めることと、仕事の負荷に耐えられることは、まったく別でした。
読書は、回復の目安のひとつではあっても、判断の根拠にはなりません。そこは主治医と相談して決めるところだと、いまは思っています。
紹介記事を読むときに見てほしいところ
これは自分への戒めでもあるのですが、本の紹介記事を読むときに見てほしい点があります。
- 書き手が実際に読んでいるか。 目次の要約だけで書かれた記事は、読めば分かります
- 合わない人のことも書いてあるか。 全員におすすめできる本は、この分野にはありません
- いつ読むといいかが書いてあるか。 同じ本でも、時期によって効果が変わります
このブログの本の記事も、その基準で読んでいただければと思います。合わないと感じたら、それは本にも読み手にも問題はなく、時期が合わなかっただけかもしれません。
※この記事は個人の考えに基づくもので、医学的な推奨ではありません。読書は治療の代わりにはなりません。体調に不安があるときは、まず主治医にご相談ください。

