退職して収入が止まったあとに、住民税の納付書が届いて驚く人は多いと思います。住民税は前年の所得に対してかかる税金だからです。今年働いていなくても、去年の分の請求は来ます。
この記事では、退職の前後で住民税の払い方がどう変わるのかと、気をつける点を整理します。
※これは一人の当事者が公式の情報をもとに整理したものです。取り扱いは市区町村によって異なる場合があります。実際の金額や方法はお住まいの市区町村にご確認ください。
特別徴収と普通徴収
住民税の払い方は2つあります。
- 特別徴収:会社が毎月の給与から天引きして、本人に代わって納める方法。会社員はたいていこちら
- 普通徴収:市区町村から届く納付書で、自分で納める方法。年4回などに分けて払う
退職すると給与がなくなるので、天引きができなくなります。そこで普通徴収に切り替わる、というのが基本の流れです。
退職の時期で扱いが変わる
住民税は6月から翌年5月までを1年度として、12回に分けて天引きされています。年度の途中で辞めると、まだ天引きされていない分が残ります。この残りをどう払うかが、退職の時期で変わります。
名古屋市の説明を例にすると、次のようになっています。
- 1月1日〜4月30日に退職:残りの給与などが未徴収分を上回る場合、本人の申し出があるかどうかにかかわらず、給与などからまとめて差し引かれる
- 6月1日〜12月31日に退職:最後の給与からまとめて差し引いてもらうか、普通徴収に切り替えて自分で払うかを選べる
年明けに辞めると最後の給与から一気に引かれ、年の後半に辞めると選べる、というのが大まかな違いです。手取りの見込みが変わるので、退職の時期が決まっているなら会社に確認しておくと安心です。
二重に払わないように気をつける
気をつけたいのが、手元に古い納付書が残っているケースです。
たとえば、以前に普通徴収の納付書を受け取ったあと、会社の特別徴収が始まった場合。すでに会社が納めている分を、手元の納付書でもう一度払ってしまうことがあります。
納付書が手元にあるときは、その分がすでに給与から天引きされていないかを会社か市区町村に確認してから払ってください。どちらで納めることになっているかは、自分では見分けがつきにくいところです。
普通徴収に切り替わったあと
普通徴収になると、市区町村から納付書が届きます。納期は年4回に分かれているのが一般的です。
収入が止まっている時期に、まとまった額の請求が来ることになります。金額は前年の所得で決まっているので、いまの状況とは関係なく計算されています。ここが住民税のつらいところです。
自治体によっては、収入が大きく減った場合の減免や、納付の猶予について相談できることがあります。払うのが難しいと感じたら、滞納する前に市区町村の窓口へ相談してください。
翌年の分も来る
もうひとつ見落としやすいのが、翌年度の住民税です。
退職した年に働いていた期間の所得に対して、その翌年にまた住民税がかかります。退職してしばらく無収入でも、もう一度請求が来るということです。
傷病手当金は非課税なので、療養中の収入が傷病手当金だけであれば、その分は翌々年の住民税の計算には入りません。ただし退職までの給与は入ります。
おわりに
住民税は、後から追いかけてくる支出です。退職を決めるときに手取りだけを見ていると、あとで想定外の請求として現れます。
やることは多くありません。退職の時期でどう引かれるかを会社に確認する。納付書が届いたら二重払いになっていないか確かめる。払えないと感じたら早めに相談する。この3つだけでも押さえておくと違うと思います。
この記事は制度の一般的な仕組みを整理したもので、税務の個別の助言ではありません。金額や取り扱いはお住まいの市区町村にご確認ください。

