転職して落ち着いたはずが、また体調を崩した話

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環境を変えれば良くなる。私はそう信じて転職しました。

実際、新しい職場に移った直後は、体調も気持ちも上向いていました。ようやく抜けたと思っていました。

けれど、しばらくして、また同じような症状が出てきました。この記事は、その経験について書きます。転職を考えている方、あるいは転職したのにうまくいかず自分を責めている方に、少しでも届けばと思っています。

※これは一人の当事者の体験談です。再発の経過や要因には大きな個人差があります。

転職直後は、本当に調子がよかった

新しい職場に入った最初のうちは、体調がはっきり軽くなりました。

朝、普通に起きられる。夕方の頭痛が出ない。仕事の内容にも興味が持てて、覚えることが多いのも苦になりませんでした。

あのとき私は、「やはり原因は前の環境だったんだ」と結論づけていました。環境を変えたのだから、もう大丈夫だと。

今思えば、この時期の好調さには、いくつか理由があったのだと思います。新しい場所への緊張感、期待、そして「ここで失敗できない」という気持ち。どれも一時的にパフォーマンスを上げますが、燃料としては長持ちしません。

戻ってきた症状は、前とほとんど同じだった

変化は、じわじわ来ました。

まず、夕方から夜にかけての頭痛が戻ってきました。前と同じ時間帯、同じ場所の痛み方です。次に、朝起きるのがつらくなり、休みの日に何もできなくなりました。

症状の出方が前回とほとんど同じだったことに、私は強いショックを受けました。「またここに戻ってきてしまった」という感覚です。

そして、前回とは違う苦しさがありました。前回は「何が起きているか分からない」つらさでしたが、今回は「これから何が起きるか分かっている」つらさです。この先どうなるかが見えてしまうぶん、絶望感は大きかったです。

なぜ、環境を変えても同じことが起きたのか

当時の自分なりに考えたことを、いくつか書きます。

1. 回復しきる前に、次を始めていた

これが一番大きかったと思います。日常生活が普通に送れるようになったことを「治った」と解釈して、次の環境に移りました。

でも、日常生活ができることと、仕事の負荷に耐えられることは別です。前の記事にも書きましたが、私はこの2つを混同していました。

2. 新しい環境には、新しい負荷がある

転職は、たとえ良い転職であっても、それ自体が大きな負荷です。人間関係を一から作り、仕事のやり方を覚え、評価もゼロから積み上げる。それを、まだ回復途上の状態で一気にやっていました。

3. 働き方の癖は、環境を変えても持っていく

これが一番、認めたくなかった点です。

断れない、抱え込む、人に頼らない、完璧にやろうとする。こうした自分の傾向は、職場が変わっても一緒についてきました。むしろ新しい環境では「早く信頼されたい」という気持ちが加わって、以前より強く出た面すらあります。

環境は変えられても、環境への向き合い方を変えないと、同じ結果になる。これが、私が身をもって学んだことです。

再発したときに、前回と変えたこと

同じことを繰り返した一方で、対応の仕方は前回と変えられました。

  • 我慢する期間を短くした。前回は限界まで粘ったが、今回は早い段階で受診した
  • 症状を記録するようにした。いつ、どんなときに悪くなるかを書き留めた
  • 「もう一度ここから始めるのか」という感情と、実際にやるべきことを分けて考えた
  • 家族に早い段階で共有した

とくに1つ目は、経験が生きた部分です。前回、限界まで我慢した結果、回復に長い時間がかかりました。同じ道は通らないと決めていました。

2つ目の記録は、思った以上に役に立ちました。しんどいときは記憶があいまいになりますし、診察の場で「最近どうですか」と聞かれても答えられないことがあります。短いメモがあるだけで、医師との会話の密度が変わりました。

再発は「振り出しに戻る」ことではない

再発したとき、私は完全に振り出しに戻ったと感じていました。積み上げてきたものが全部無駄になったと。

でも、少し時間が経ってから思ったのは、まったく同じ場所ではなかった、ということです。

前回は、症状の意味が分かりませんでした。今回は分かります。前回は、どこに相談すればいいか分かりませんでした。今回は分かります。前回は、休むことがどういう手続きになるのか知りませんでした。今回は知っています。

同じ場所を回っているように見えて、少なくとも地図は手に入っている。そう考えられるようになるまでには時間がかかりましたが、今はそう思っています。

これから転職を考えている方へ

転職を否定したいわけではありません。環境を変えることで良くなる場合は確かにあります。

ただ、私の経験から言えることが2つあります。

ひとつは、転職のタイミングを「動けるようになったとき」ではなく、「働く負荷に耐えられるようになったとき」に置くこと。この見極めは自分では難しいので、主治医に率直に相談したほうがいいです。

もうひとつは、環境を変えるのと同時に、自分の働き方の癖にも目を向けておくこと。断れない、抱え込む、といった傾向は、新しい職場でも必ず顔を出します。

そして、もし転職後に再び体調を崩したとしても、それはあなたの努力が足りなかったからではありません。少なくとも私は、そう思うようにしています。

再発のサインを早く捕まえるために記録したこと

二度目のあと、私は自分の状態を記録するようにしました。凝ったことはしていません。1日1行、メモアプリに書くだけです。

  • 睡眠:何時に寝て何時に起きたか、途中で目が覚めたか
  • 頭痛:あったか、なかったか、いつごろか
  • 食事:3食食べられたか
  • その日にできたこと(一つでいい)
  • しんどさを10段階で一つの数字にする

なぜ記録が役に立つかというと、体調が悪くなると記憶があいまいになるからです。診察で「最近どうですか」と聞かれても、直近2〜3日の印象でしか答えられなくなります。

記録があると、「2週間前から睡眠が浅い日が増えている」といった変化が見えます。自分では気づかない下り坂を、数字とメモが教えてくれました。

とくに睡眠の変化は、私の場合、他の症状より先に出ていました。眠りが浅くなる、寝つけない、早朝に目が覚める。この段階で気づけると、悪化する前に手を打てます。

早めに動くと決めておいたこと

記録と合わせて、あらかじめ「ここまで来たら動く」というラインを決めておきました。

  • 夕方の頭痛が3日以上続いたら、次の通院を前倒しする
  • 睡眠が2週間乱れたら、主治医に必ず報告する
  • 朝、起き上がるのに時間がかかる日が続いたら、業務量の調整を相談する

なぜ事前に決めておくかというと、調子が落ちてくると「まだ大丈夫」と判断してしまうからです。判断力が落ちている状態で判断しないために、元気なうちにルールにしておく。これは、二度目の経験から学んだことです。

実際、このラインを決めてからは、「これはもう報告する段階だ」と機械的に動けるようになりました。自分の感覚だけに頼らないほうが、結果的に早く手が打てます。

「治った」と「安定している」は違う

二度目を経験してから、言葉の使い方を変えました。

以前は「治ったら復帰する」と考えていました。今は「安定している状態を保ちながら働く」と考えるようにしています。

この違いは、思っている以上に大きいです。「治る」を前提にすると、少しでも症状が出たときに「治っていなかった」と絶望します。「安定を保つ」を前提にすると、症状が出たときは「調整が必要なサイン」として扱えます。

高血圧や糖尿病と同じように、付き合いながら働いている人はたくさんいます。私も、完全にゼロに戻ることを目標にするのはやめました。ゼロに戻らなくても、働ける状態は作れます。

もちろん、これは私が二度目を経験したあとにたどり着いた考え方です。一度目の直後にこう思えたかというと、たぶん無理でした。

※この記事は個人の体験に基づくもので、治療の代わりになるものではありません。症状の再燃を感じたときは、我慢せず早めに主治医にご相談ください。

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